HF~144MHzの50Wクラスのパワーアンプ(リニアアンプ)の基本回路を示します。

これらの回路定数を135kHz帯にリニューアルすればOK、のはずです。
一見すると、マッチング回路で「そんな大きな半固定コンデンサあるわけ無い」「コイルがめちゃくちゃ大きくなりそう」と想像されます。しかし、回路を吟味しているうちに、最大の問題点は、それとは別にあることが分かりました。
HFでは、L1, L2は空芯コイル、C1~C4は数10pFのトリマコンデンサを使います。135kHzに換算するとL1, L2≒10μH、C1, C4≒0.02μF、C2, C3≒0.01μFとなります。
10μHのコイルは意外と簡単にできます。FT-50#43に4~5回巻き、つまり直径15mm、厚さ5mm程度の小さなものです(ただし温度変化に対する安定性は不明)。半固定コンデンサは最大100pF程度の製品しか存在しませんので、ここでは固定コンデンサとします。入力に低周波発振器をつなぎ、周波数と利得の関係を求め、135kHz付近で利得が最大になるようコンデンサを取り替えようと考えています。
この回路の最大の問題点はRFC2, RFC3です。50W出力で電流が10A以上流れるので、それに耐えるもので、かつ高周波電流を阻止しなければなりません。そこでHFでは空芯コイルが使われています。ところが135kHzでこの条件を満たすコイルは存在するのか??? 難問です…。名古屋のある店で『パワーインダクタ100μH 2A』が5個100円で売られています。100μH 135kHzでインピーダンスは約84Ω、5個並列で何とかなるかも?
オーディオ用パワーアンプの回路を流用するなど、RFCを使わない方法もあります。しかし、どんな方法にしても、電源が13.8Vである限りは、50Wを得るためのRL≒1.5Ωをトランス等で50Ωに変換する必要があります。十分にインピーダンスが高い巻数にすると、すぐに磁気飽和に達するので、トロイダルコア等での製作は困難です。変圧器用の鉄心にコイルを巻くか…?
未知の周波数帯への挑戦は、アンプ一つとってもこれだけ奥深いものです。
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