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2008年1月19日 (土)

散乱通信によるHFの見通し外通信

Scatter 私の移動運用の記録で、電離層反射が期待できないはずの時間帯に、10~28MHzで何局かとQSOしていることに気付かれた方もいらっしゃると思います。これは散乱通信(スキャッター)によるものです。

しかし、「散乱通信」「スキャッター」でネットで検索してみても、詳しい解説はほとんど見当たりません。無線工学の専門書だけに書いてある、極めてマイナーな分野です(^^)。この現象を知っていると、移動運用やコンテストの楽しみが増えます。ここで簡単に解説します。

高出力の電力を、対流圏の密度のゆらぎがある場所(大気の密度が不規則に変化し、反射や屈折が発生する)に放射し、四方八方へ散乱された電波の一部分を高感度の受信機で捕らえることにより、見通し距離をはるかに超える距離との交信が可能です。これが散乱通信(スキャッター)です。対流圏のスキャッターの場合、約650km程度が理論上の散乱伝搬の限界で、それ以上はダクトや地表面反射による2段スキップと思われます。

専門書では「高出力」となっていますが、これを全て「10W CW+ダイポール」でやってしまうのが私の得意技の一つです。適当な長さのワイヤー+アンテナチューナーでは、受信感度が付いていかないので難しいと思います。

ひとたび強力なスキャッターが発生すれば、10~28MHzまでほぼ同じような強さで入感します。これが電離層反射と違う所です。スキャッターの発生する場所・時間は詳細に観測されたデータは少なく、経験に基づきます。私の感覚では12時~日没頃が最も良いと思いますが、文献によると特に強いとされている時間帯は無いようです。

見通し距離外なのに、スキャッターでどのバンドでも常時QSOできる局がいらっしゃいます。ご自分専用の電離層をお持ちで…などと表現されます(笑)

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