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2009年7月29日 (水)

U/SHF試験信号発振器の製作と使い方

今週末のC2400祭りに向けて準備を進めています。

最近、2400MHzの受信感度が悪くて、このままでは高得点は望めず、ずっと気になっていました。かと言ってメーカーに調整を依頼しては間に合いません。(メーカーが不測の事態になった場合に備え、自力でやりたいのが本音)

U/SHF専用の測定器は持っていないので、手軽に感度調整する方法を考えました。また、周波数較正にも使えることが分かり、サテライト用リグの較正も同時に行いました。

Testosc [1] U/SHF試験信号発振器の製作

適当な水晶発振を逓倍して基準信号とします。発振周波数を24MHzにすると、144~5600MHzの5バンドに収まります。

  • 24×6=144MHz (CWの運用周波数 144.051MHz)
  • 24×18=432MHz (同 430.051MHz)
  • 24×54=1296MHz (同 1294.051MHz)
  • 24×101=2424MHz (同 2424.051MHz)
  • 24×240=5760MHz (同 5760.051MHz)

回路はFCZトランジスタ基板に組み、アクリルケースに入れました。発振周波数の端数を正確に合わせる必要はありません。安定性がそれなりに確保できれば(24MHzより高い周波数を保てれば)OKです。

Testoscpic経験上、この手の電源は下手な安定化電源を使うと失敗します(温度上昇によるドリフトがあるため)。コレクタ電流を小さめに設定し、新品の電池を使うことで周波数が安定します。

周波数が24MHzより低いと144MHzの下限から外れて調整できないので、24MHzよりわずかに高い周波数に合わせます。図の回路方式であれば、普通の水晶なら24MHzより高い周波数になるはずです。

[2] トランスバータ受信段の調整

発振器を動作させ、親機+トランスバーターで受信し、受信段のキャビティ調整棒のネジを回して(鉄製ドライバーで可)、感度最大に調整します。『2本の調整棒で最初は利得最大に調整する。その後、ノイズレベルが少なくなるように、ほんの少し調整棒を前後させ調整する。』(マキ電機プリアンプキットの取説より)

調整棒を利得最大の点から次第に押し込むと、急激に信号レベルの落ちる所があります。その状態で無信号の受信周波数に合わせ、調整棒をゆっくりと抜くとノイズが急激に増える点があります。その立ち上がりに合わせます。

結果は、普段からJA2IGYビーコンでチェックしている1200MHzは特に問題無し。ところが2400MHzの信号が見つかりません。アンテナと発振器を数cmまで接近させると、辛うじて信号を確認。調整棒を回したら一気にSメーターが振れました。2400MHzでCQを出しても呼ばれないのが納得。こちらが聞こえていませんでした(爆)

240倍高調波の5760MHzは激弱で、15エレループアンテナの真正面の数cmに持ってきて、ようやく信号を確認できました。5600MHz A1で交信すると(PLLバージョンなのに)QRHでピヨピヨと聞こえます。発振機を揺らしても受信音はあまり変化せず、トランスバーターを動かすと周波数が動くので、トランスバーターに原因があると分かります。

もう一つ注意する点は、受信においてもマッチングの合ったアンテナを使用しないと、稀に受信段が自己発振します。

[3] リグの周波数較正

(注: 失敗すると復元困難になります。自己責任でお願いします。)

こんな「えーかげんな」発振機で144/430MHzの周波数較正もやってしまいました(^^)。

基準となる発振機をどうするか。我が家で最も周波数精度の高い機械はIC-703(TCXO標準装備)です。しかしこのリグは144/430MHzに対応していないので、周波数較正を直接行うことはできません。

そこで50.010MHzのJA2IGYビーコン、先ほどの発振器、低周波用周波数カウンタを使います。実験に先立ち、温度の安定した場所に発振器を置き、電源を入れて数10分間エージングします。

  1. 周波数の基準とするリグ(以下、基準機とする)で50.010MHz CWを受信し、ビート音が設定通り(CW PITCH、私は700Hzを愛用)に合うことを確認します。無調整でほぼ合っていました(^^)
  2. 調整するリグ(以下、調整機とする)の取説「TCXOの取り付け方」の項目で基準発振器の開け方を調べ、発振モジュールのトリマを回せる状態で電源を入れます。
  3. 発振器の周波数を基準機で正確に読み取ります。IC-703は24.000MHzに正確な内部ビートがあって使えないので、48MHzで周波数を読み取りました。ヘッドホン端子に周波数カウンタをつなぎ、1Hz単位まで正確に読み取ります。
  4. 調整機に適当なアンテナ(ビニル線)をつなぎ、3.で読み取った周波数の3倍(48×3=144MHz)を電卓で計算し、その周波数をCWで受信します。
  5. 調整機のヘッドホン端子に周波数カウンタをつなぎ、ビート音が規定の値になるよう発振モジュールのトリマを調整します。わずかな動きでも周波数が大きく動くため、慎重に作業します。調整用ドライバで回せる最も小さい動きでも100Hzほど動くので、±50Hzに収まっていればOKとします。
  6. 3. の周波数の9倍(48×9=432MHz)を電卓で計算し、その周波数をCWで受信します。
  7. 調整が正しければ、ビート音が設定値に近くなっているはずです。その間に発振器の周波数がドリフト(数Hz/分)してきます、3.~6.を素早く、あるいは一定時間間隔で繰り返し、144MHzと430MHzの両方で正しく周波数が合うようにします。

実はIC-820の取説にはCW PITCHの値が書いてありません。とりあえず700Hzで調整したら144MHzと430MHzの値が合わなかったので、800Hzにしたらうまく合いました。

発振器の信号を144MHz CWで正確に受信しておき、その3倍の432MHz CWでも正確に受信できれば、調整は成功です。基準機の周波数が正しく合っていることの証明にもなります。

私のVO-52のアップリンク周波数は公称435.265MHzとなっています。実際はこれより300~400Hz低く、ダウンリンクが高めになっていたことにお気づきの方もいると思います。較正しましたので、次回からは145.8783MHz付近でAOSするはずです。

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コメント

無線機の周波数校正ですが、私は受信周波数拡張改造をした上で、VHFのアナログテレビ波に合わせています。
親局の局発はルビジウム発振なので、結構、信頼できますよ。

「メーカーが不測の事態....」というと、アマチュア用機器を製造・販売している小さなメーカーは、どこも経営者の高齢化が心配の種ですね。

たとえば、いつもお世話になっているのがFCZ研究所の製品。
十数年前に座間のFCZ研究所を訪ねた時にも、大久保OTが結構なお歳だと感じられましたが、今は何歳になられたのでしょうか。

その時にOTから「(在京じゃない)某プロ野球チームのファンである」と伺いましたが、「だから、遠隔地の中波ラジオを受信するための道具」が必要であり、FCZのラインナップにもあるのだなぁ....などと思ったものでした。

投稿: uic | 2009年7月31日 (金) 00:39

VHFのアナログテレビ波も無くなるのが心配です。

投稿: JO2ASQ | 2009年8月 2日 (日) 21:23

そう簡単には停波しないでしょう。

投稿: uic | 2009年8月 5日 (水) 00:50

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