IC-9700 レビュー
【2月25日追記あり】
IC-9700を入手し、変更申請は既に済ませてあるので、サテライトの実戦で早速使用してみました。
地上波の性能も試すため、場所はV/UHFで多くの交信実績がある長久手市にしました。特に標高が高いわけではないのに、反射がうまく効いているようで11県や13県と相性が良いです。また、50MHzでは1時間でAJDを達成したこともあります。
結論から言うと…
- S/Nが素晴らしい
- ノイズブランカーが良く効くので、電気自動車系のノイズにも効果がありそう(未確認)
ところが、実際の運用では、いくつかのトラブルが重なり、サテライトの迎撃態勢を整えてから、交信できるまでに30分かかってしまいました。
以下、IC-7300の操作を理解している人が、取説を読まずにいきなりIC-9700をサテライトで使うとこうなる、という参考として、お読みください。
IC-7300の操作をご存知ない方や、IC-9700を地上波の交信で使う方には、私とは違ったところでトラップにはまるかもしれません。
トラブルではないけれど、慣れるまで手間取ったこと
- サテライトモードではSUBが送信、MAINが受信。(今までのリグでは逆でした)
- 電源ONまでに時間がかかる
トラブルその1:ヘッドホンが片耳しか聞こえない
初期設定では、サテライトモードでMAINとSUBがヘッドホンの片側だけに割り当てられています。SSBではこれが苦手で、ループを取る時に、片耳受信では自分の声が耳から入ってきて、受信音と区別がつかないので操作がしづらいです。
この設定を【両耳で聞こえるように】変更する方法が分からず、運用が終わってから気付きました。
MENU>SET>外部端子>ヘッドホン>L/Rミックス で、オートをミックスに変更
トラブルその2: 内蔵キーヤーを解除して、ストレートキー設定にする方法が分からない
サテライトがAOSした後に、パドルを打ってもスローな短点しか出ませんでした。これは焦ります。【追記:外付けキーヤーを使っているのに、内蔵キーヤーが動作しているためです。】
ところが、MENUの上段の真ん中がVOICEになっていて、KEYERの設定ができません。これが最も困ったところです。
サテライトモードでMENUを押した場合の設定はMAIN(受信)周波数設定を選択した(周波数が白色で表示される)バンドのモードに依存しており、MAIN周波数設定を選択したバンドをUSBにすると、KEYERの設定ができないことが分かりました。
KEYERの設定にしても、その次の画面はM1からM8のメモリー設定が出てきて、次に何をするのか迷いました。EDIT/SETからCW-KEY SETに入り、2ページ目のキータイプをパドルからストレートキーに変更すると、内蔵キーヤーが解除されました。
トラブルその3: 受信感度が低い(RFGの設定)
サテライトの受信はできました。ところが受信感度がイマイチで、特にFO-29のビーコンが聞こえませんでした。とりあえず、つまみを回していると、RF/SQLつまみを回してRFGの表示を消すと通常の受信感度になることが分かりました。同じリグでFM/DVの受信もするので、RF/SQLつまみの設定を変えたことに気付きませんでした。
SSB/CWでRFGを使わないのであれば、 SET>機能設定>RF/SQLボリュームタイプ でRF+SQL(初期設定)ではなく、SQLに設定すると良いです。(スケルチは有効になるので、RF/SQLを時計回りに回してしまうと受信できない。しかし、SQLが効いた状態は受信音で分かるので、RFGで感度が落ちるよりはリスクが低い。)
【追記:要するに、SQLに設定してRF/SQLを左いっぱいに回しておけばOK。RF+SQLに設定してRF/SQLを左いっぱいに回すと、受信できません。】
―――
以下、操作で手間取っており、設定の変更で改善できないか試している項目です。
操作で手間取っている問題
- サテライトモードで、CW→LSB のモード切り替えに手間がかかる。CWを押して、いったんUSBにしてから、USBをもう1回押してSSBの設定にしてSSBを押すと、やっとLSBになる。LSB→CW は、CWに設定するだけなので簡単。【追記:その後、特定の条件で、CW→LSBへ簡単に変更する方法を考案しました。次回テストしてみます。】
- サテライトの
受信側(MAIN)でSSBでダイヤル 1/4 が効かない。そのためMAINで周波数を調整するFO-29では、ダイヤルの回転に対して周波数変化が速すぎてループを見失う。 - MULTIつまみを押した後のサブメニューを長押しすると、MULTIつまみの機能がRF POWERなどに変更できる。MULTIつまみを元のkHzまたはM-CHに戻す方法が分からなかった。正解はkHz[M-CH]キーを押す、このキーはIC-7300に無い。
- サテライトと非サテライトモードのメモリーが、メモリー番号は1から順番なのに別枠になっていて、それに気づくまで混乱した。(追記:メモリー番号がバンド別に1から設定される)
- スペクトラムスコープで、UPとDOWNのモードが違う関係で、自分のダウンリンクは±0Hzにしないのが正解。この感覚に慣れない。
その他の雑感
- サテライトで、アップリンク側の信号がダウンリンクに若干回り込むような気がする。以前使っていたリグは、そのようなことは全く無い。配線の関係などかもしれない。
- 足が滑る。硬くて平らな台に置く場合、地震対策用の防振ゲル(100円ショップで売っているものでOK)を敷くのがおすすめ。
- 【追記】430MHzを親機とするトランスバータを使う時、パワーを最小にしないとトランスバータが壊れてしまう。誤ってパワーを上げたまま送信しないように、IC-9700側で設定する方法があるとうれしい。
- 【追記】地上波は? 144MHzで2QSO、430MHzで3QSOしかしておらず、分からない部分もありますが、QSBでフワフワになりそうな信号がシャキッと聞こえて一発コピーできました。S/Nが良く、聞きやすいことは確かなのと、フィルターやNRの設定で結構変わりそうな気がします。超カスカス信号がどのように聞こえるかは現時点で分かりません。1200MHzはJA2IGYビーコンが聞こえました。キャリア周波数は非常に正確なようです。
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