AO-7の使い方復習
1974年に打ち上げられたアマチュア衛星のAO-7は、現在では全日照(太陽光が衛星に常時当たる)時に、24時間ごとにmode A(アップリンク145MHz/ダウンリンク29MHz)とmode B(アップリンク432MHz/ダウンリンク145MHz)が切り替わるようになっています。
全日照以外の期間は、常時mode Bです。mode Bは、日本では運用が許可されていません(詳細はAMSATのサイトに掲載)。
AO-7の全日照は秋に発生する傾向があり、2020年は9月25日から12月26日頃まで全日照が予想されていて、mode Aが隔日で利用できるようになります(出典はAMSATのtwitter )。
AO-7の話題になると「打ち上げ直後に運用したことがある。懐かしい!」とおっしゃるOM諸氏を何名もお見かけしました。そこで、現在の状況について復習しましょう。
以下、AMSATのサイトから引用
Mode V/A (A) Linear Transponder (Non-Inverting):
Uplink: 145.8500 – 145.9500 MHz SSB/CW
Downlink 29.4000 – 29.5000 MHz SSB/CW
実際には、下記のような様子になっています。
1. Non-Invertingのため、アップリンクはUSBにする
SSBの場合、AO-7はNon-Inverting(アップリンクとダウンリンクの周波数の上下が同じ)のため、アップリンク、ダウンリンクともにUSBにします。
AO-7以外のリニア衛星はInverting(アップリンクとダウンリンクの周波数の上下が逆)で、アップリンクをLSB、ダウンリンクをUSBにしますので、お間違えの無いように。
CQを出す局は、受信固定・送信固定のどちらも見受けられます。理論上は、「アップリンク/ダウンリンク の周波数の低い側を固定にすると、トランスポンダ上の周波数変化が小さくなり、混信しにくい」ことから受信固定になります。しかし、実際は、ドップラーシフトの周波数変化が遅く、運用局の密集度も低いため、混信の回避に注意すれば送信固定でも問題無いと思います。
2. 29MHz帯のダウンリンクが非常に弱い
145MHz帯や435MHz帯のダウンリンクの衛星では、モービルホイップアンテナでもSメータをガンガン振らせてくることがあります。しかし、AO-7の29MHz帯のダウンリンクは非常に弱く、モービルホイップアンテナでは「プリアンプを使用して、高仰角のパスでCWで何とかダウンリンクが確認できる」レベルです。
安定して交信するには、ダイポールアンテナや多素子のビームアンテナと、プリアンプが必要です。ただし高利得のビームアンテナでは、天頂方向の指向性が弱いという問題も生じます。私はAO-7のSSBを主に運用する時には、専用のダイポールアンテナ(デルタループアンテナにもなる)を使っています。
ダウンリンクはHF帯のため、長周期のフェージングを伴うことがあります。
3. トランスポンダの端の周波数では、ダウンリンクが弱い
トランスポンダの帯域は公称100kHzとなっていますが、中心の145.900/29.450MHzから±20kHz程度以上離れるとダウンリンクが弱くなります。
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